日本の多言語状況

多言語化する教育現場

 法務省入国管理局が2008(平成20)年に発表した資料「平成19年末現在における外国人登録者統計について」によると、外国人登録者数は、過去最高の2,152,973人となり、我が国総人口の1.69パーセントにまで増加しています。その国籍(出身地)別の割合は、これまで一貫して最大の構成比を占めていた韓国・朝鮮を超えた中国が1位となり、以下韓国・朝鮮、ブラジル、フィリピン、ペルーと続きます。これら上位5地域だけで全体の82.7パーセントを占めており、韓国・朝鮮を除く中国、ブラジル、フィリピン、ペルーはこの10年間で大幅に増加しています。その他にも増加が著しい地域として、ベトナム、タイ、インドネシア、インドが挙げられています。

 外国人登録者数の変化は、当然ながら学校教育現場にも反映されます。文部科学省が実施した「日本語指導が必要な外国人児童生徒の受入れ状況」に関する調査結果によると、2007(平成19)年9月1日現在で、公立の小学校、中学校、高等学校、中等教育学校及び特別支援学校に在籍する日本語指導が必要な外国人児童生徒は25,411人で、前年に比べ2,998人[13.4パーセント]増加しており、調査開始以来最も多い数となっています。

 日本語指導が必要な外国人児童生徒を母語別に見ると、ポルトガル語を母語とする者が最も多く、全体の4割を占めており、2位の中国語、3位のスペイン語を加えると、3言語で7割以上に達しています。それらに続いて高い構成比を示しているのが、フィリピノ語、韓国・朝鮮語、ベトナム語となっています。

 また、在籍者数を学校種別に見ると、小学校に在籍している者が18,142人と全体の7割以上を占めています。全国の小学校数が約22,000であることを考えると、ごく単純に計算して5校中4校に外国人児童が在籍するという数字になります。

 以上のことから、小学校の日本人児童にとって身近な言語は、ポルトガル語、中国語、スペイン語、韓国・朝鮮語、フィリピノ語、ベトナム語などであり、身近な異文化は、これらの言語の背景となる、ブラジル、中国、ペルー、韓国・朝鮮、フィリピン、ベトナムなどの地域文化であることがわかります。もちろん、言語と国、言語と文化とが一対一の対応をしているわけではなく、どの国であれ多様な言語や文化圏が存在するし、日本人児童の中にも帰国生などのように日本語や日本文化とは異なる背景を持つ場合もあることを認識しておく必要はありますが、ごく大まかに見てもこれほど多様な言語や異文化が児童の周りにあることは確かです。